「ごめんね」

パパが申し訳なさそうな顔をして
モモジに言います

『・・・』

今日、モモジはパパと一緒に
動物園に行く約束をしていました

それが…今朝
リンリンリリン
突然の電話

パパの急なお仕事の用で
動物園には行けなくなってしまったのです

モモジは、動物園をとっても楽しみにしていました

「今日は、本当にごめんな
 これ、お土産だよ
 モモジはこれが大好きだもんね」

パパは、仕事帰りに買って来てくれた
コンペイトをモモジに手渡しました

【こんなので、動物園のかわりになんて… なるもんか
 パパはずるいや】

モモジは無言で、自分の部屋に帰ってゆきました

明かりを消して、すぐに、ベットに入ります

『あーあ、動物園、動物園、コンペイト、動物園
 僕は動物園に行きたかったんだよ
 コンペイトがほしかったわけじゃない』

そう言いながら…

 ベガッ
    ベガッ
           ベガッ

モモジは、星のような、そのコンペイトを
かじりました

『ん、このコンペイトは… なかなかのコンペイトだぞ』

と、そこへ

<お呼びでございますか…>

暗闇の中、確かな声が聞こえます
モモジが明かりをつけて見てみると

琴をもったミステリーハンターが
月明かり、窓の外に立っています

<わたしの名前はベガ
 あなたが私を呼んだのね
 それで、あなたの望みは?>

モモジは一瞬、何が何だか、さっぱり
意味がわかりませんでしたが…

『僕は、コンペイトを食べていただけなんだけどね
 あのね、僕、動物園に行きたかったの』

どさくさまぎれに言いました

<わかりました、では、すぐに、出発しましょう>

ベガはモモジの手を引くと
夜空の星のらせん階段を
流れ星のように
駆け上がってゆきます

1等星のゲートを開くと
その先は…

 夜空の動物園

『わあ、ホントにホントに、動物園だぁ』

モモジは、うれしくて、うれしくて
もう、たまりません

<星屑動物園へようこそ>

そう言うやいなや、ベガは、はじけて
飛んでゆきました

『へんなの…
 でもでも、それより、わーい
 動物園に来ちゃたよぅー』


やっぱり、まずは、ライオンから
レグルスという名の百獣の王は
もちろん、夜空の世界でも王様です

2本のツノをじまんげに見せて
笑っているのは
バッファローのアルデバラン

シリウスという名のわんちゃんも
ウサギさんも、ヘビさんも
それに、アンタレスという
危険な針を持ったサソリさんもここにはいます

鳥さんゾーンでは
天の川をゆうゆうとわたる、デネブのはくちょうが見えます
わしのアルタイルの目は、ちょっぴり、怖いくらいです
赤、青、おしゃれな、羽を輝かせて
くじゃくや、ごくらくちょうも飛んでいます

海さんゾーンでは
アフロディーテの魚が
きらきら、泳いで、星の海を泳いでゆきます
小さな星々は、ミラと呼ばれる大きなくじらに飲みこまれています
イルカだって、ほら見えますよ

もうずいぶん、動物園を歩き回ったモモジが
ふと、上の方を見上げてみると
今夜、一番に輝いているお星様が見えました

モモジのような小グマをつれて、お父さんグマが
お出かけしているところです

【わあ、いいなあ、どこに行くのかな
 もしかして、動物園に行くのかな
 そうだとしたら、おもしろいな
 ふふふ…】

お父さんグマの光る、1番の星を見ているうちに
モモジは パパのことを思い出しました

【パパに悪いことしちゃったな
 お仕事じゃ、仕方ないのに、僕は…
 コンペイトもおいしかったもんね
 あっ、そうだ今度のお休みは
 パパと一緒にこの動物園に来よう】


そうして

夜空の動物園を歩きつかれたモモジは
星屑のふとんにもぐりこんで…

『パパ、おやすみなさい…』

動物園バスにのって
夢の世界へ、旅立ってゆきました

 戻る
Copyright(C) 2006 - 2008 naohide yoshikawa , All Rights Reserved