森のほとりの、まどろみ池に、
ゼニガメぼうやは住んでいました

今日も、ゆっくり、お昼寝しよう
こうらに入ろうと、首を、にょにょりと、ひっこめた時でした

【ツカン】

ゼニガメぼうやの頭に何かがあたって、割れました

銀杏でした

「な、流れ星…」

銀杏を知らない、ゼニガメぼうやは
とても信じられないといったふうな
顔をして

銀色に輝く実をじっと、見つめました

「どうしよう、願い事が叶っちゃう…」

一人、にやにや、だらしのない
ゼニガメぼうや

いてもたってもいられず
まどろみ池から顔を出すと、ちょうどそこに

すっぽんのスーちゃんがいました

スーちゃんは、ゼニガメぼうやと同級生の
カメの女の子です

「やあ、スーちゃん
 こ、これ、見て見て、ね、ね
 流れ星、僕が見つけたの
 願い事が…」

ゼニガメぼうやが、興奮冷め止まぬ様子で
鼻息を立て立て、話をしている途中でした

【パクリッ】

スーちゃんは、ゼニガメぼうやの手に顔を伸ばすと
銀杏を食べてしまいました

「な、な、なな、なんてことを…
 僕の願い事
  食べちゃった…」

呆然と立ち尽くす
ゼニガメぼうや

『あのね、これは銀杏っていって
 イチョウになる、木の実、なんだよ
 ほら、私の銀杏あげるね』

そう言うと、今度は、スーちゃんが
ポケットから、持っていた銀杏をいくつか取り出して
ゼニガメぼうやに差し出しました

『ほら、同じでしょ、はい、好きなだけどうぞ』

「ちがうやい、あれは、流れ星だったんだ
 こんな変なのとは違うよ
 返して返してよ、僕の願い事」

ゼニガメぼうやはぷんぷんです

『ご、ごめんね
 じゃ、私が願い事を叶えてあげるから
 それでいい?』

スーちゃんが、申し訳なさそうに、そう言うと
1分くらい考えてから
ゼニガメぼうやのほっぺは、ピンク色

「そ、それなら、それで
 それは、それで、まっいいけどさ…」

まだちょっと、納得できないふうな顔をして
意味のわからないコトを言っている、ゼニガメぼうや

お昼寝以外に、するコトもないので
仕方なくとか、言いながら
お腹の中に、流れ星を持つ
スーちゃんの後を、のしのし、ついてゆくのでした

もしかしたら、ゼニガメぼうやは、スーちゃんのコトが
好きなのかもしれません

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