ここは北国 寒いです 朝も 昼も 夜も 春も 夏も もちろん冬も… 暑い日さえ 寒いです そして 今日 この街は 一番の 寒さ そして 今日 南から 一人の男が やってきました 男は 悲しそうに ただそう見えました この街で 一番寒い日には ゆうれいがふってくると 言われています そして 今夜 ゆうれいが ふってきました 大きな結晶の ゆうれい 小さな霧の粒の ゆうれい とても しんとした 淡い世界に 音もなく 舞い降りてきます 「・・・」 南からきた男もまた 言葉を発するコトもできず 窓の外を ながめました そして 地上に 降りついた ゆうれいは サァッ… と 消えてゆきます 男は とても せつなく 消えてゆく ゆうれいを 見ながら 何かを 何度も 繰り返し 自分に 言い聞かせているように 見えました ゆうれいと重なって 男の たくさんの想い出が あらわれては 消えてゆきました 何時間も 何時間も たちました もう何日も 何日も たったように… 男は… いつのまにか そこから いなくなっていました その日 最後に とても暖かそうな ゆうれいが 悲しそうに舞い降りて 他のゆうれいと同じように サァッ… と 消えて ゆきました ここは北国 ごくありふれた 寒い 北国です |
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