日曜日のある日の地下鉄東西線
小さな女の子とお父さんが東のお家から
西にある遊園地におでかけするために、地下鉄に乗っていました

地下鉄は、今日も地下鉄らしく、たくさんのヒトたちで、
みんながみんなを遠くからながめるような
冷たい静かな電車でした
そんないつもの地下鉄が真ん中駅を発車して、間もなくのコトでした

『うぅ…うー』
静かだった空間に、奇妙な声が飛び火しています

見ると、それは、クマさんでした
少しオドオドしながら、電車の中をグルグルあっちへいったりこっちへいったり…
電車のたくさんのヒトたちは、気味悪そうに、遠巻きに、
横目でチラリ、クマさんを見ているだけでした

『うううぅーうーぅ…』
地下鉄のスピードが上がるにつれ、クマさんはだんだん不安顔、
グルグルのスピードを早くしてオドオド…

「もしかして、あのこ、間違って乗ったんじゃないかなあ」
女の子がお父さんに言いました
「西行きのこの電車じゃなくて、逆の東行きの電車にのりたかったんだよ、きっと」
お父さんが、そうかもね、と答えると
女の子は、だまって少し、そのクマさんの様子を見ていました

「お父さん、ちょっとまっててね」
女の子は突然そう言うと、ツカツカ、クマさんの方へ近寄ると
「東にいきたいの?」
クマさんに聞きました

コクッっとうなずくと少し落ち着いたように、クマさんは
『うぅ』
と言いました
女の子は、優しく笑って、小さな手で、おーっきなクマさんの手を握りました
「ついておいで」
次の真ん中西より駅で、
女の子はクマさんとお父さんの手を引っ張って、3人は降りました

東行きの電車を待って、それから、クマさんを電車に乗せました
クマさんは、口を開いて、
『うううぅ』
安心顔で、泣いています
女の子は、バイバイって、笑顔で小さな手をふりふり

そして、電車が出て、お父さんの方を振り向くと
「おとうさん、遊園地に行くの、おそくなってごめんね」

お父さんは大きな笑顔で、女の子の頭をなでなでして答えます
ありがとうね、って

女の子は、ごめんねってよく、言うよ
でもね、それはね、全然ね、ごめんね、じゃないんだよ

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